33年後のなんとなく、クリスタル 田中康夫 著

 いろいろタイムリーなテーマに満ち満ちた小説。というより政治読本のようでもあった。彼のキャリアならでは、という感じ。

 1980年にこの小説の前身が出版されたとき私は高校生で、今思うと不思議ではあるんだけど、父か母が購入して実家にあったものを読んだ。が、なんかあっというまに読み終わってしまい(注釈を除くと本文はかなり短いので)、少し損した気分になったものだった。ただ当時はかなり年上の物語、と思っていたのが、今回のこの続編を読むと、ほとんど同年代じゃないか!と妙に身につまされた。自分のあまりの変化のなさ、成長のなさ、というものに愕然としつつ。

 以前、江國香織さんのエッセイの感想に<同じ時代を生きて、かつ言葉の選び方が自分好みの作家さんが活躍しているっていうのは幸せなことだ>と書いたことがあるが、まあ、言葉選びはこの際置いておくとしても(笑)今の50代が自分の33年を振りかえりながら、というのが一番面白い読み方なのかもしれん。
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# by tigersandcatlover | 2015-03-03 14:43 | 読書 | Trackback | Comments(0)

サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団来日2015@西宮

 2015年初めての兵庫県立芸術文化センターでの音楽鑑賞は、サロネン氏が指揮するフィルハーモニア管弦楽団来日公演となった。

 今年生誕150周年となるシベリウスを中心としたプログラム。まだ今ほどクラシックに興味がなかったころにフィンランド旅行をしたときに、CDを買いあさってiPodにたくさん入れて出かけたことを思い出す。市バスの運転手さんに『シベリウス公園に行きたいんだけど~』と尋ねると、ちょっと困った顔で『フィンランド語しかわからへん』と(多分)言われたものの、地図をみせると、『ああ、フィンランディア!』と合点のいった表情を浮かべられたのがなんだか懐かしい。

  まずはヒラリー・ハーンさん。初めて彼女の演奏を聴いたのは2013年の秋にネルソンス氏とバーミンガム響のときのシベリウスのヴァイオリン協奏曲だった。そのときは少しお行儀がいいような印象を持ってしまったのだけれど、この一年ちょっとで貫禄がぐっと増していた(体格的にも)。成熟したというか、なんというか。そのぶん演奏に力強さや厚みが感じられて、個人的には今回のほうが好みだった。アンコールのバッハはさすがの十八番って感じ(たしか前回もバッハだった)。

 シベリウスはどの曲も途中ぱーっと目の前が開けるようなカタルシスを感じる部分があるのだけれど、サロネン氏の演奏はテンポの緩急や音の強弱がそれはそれはメリハリが利いていて(限界までの弱音や無音の時間がくっきりしていて)そのぶん、盛り上がりの強さが際立っていて途中なんどもざわ〜っと鳥肌が立った(いい意味でね!)。交響曲5番の最後の5音と来たら!もう一音一音完全に止まってしまうものだから、こちらまで息を止めてドキドキしてしまったほど。

 拍手に促されて三度目に出て来たときに、サロネン氏は指揮棒を持っていなかった。ので、今回はアンコールはないのかな?と思っていたら、拍手を制するように口にしーっと手をあててから一言「ワルツ」とささやいてからの、指揮棒なしの悲しきワルツ。まるで指先から音楽が流れる魔法をみているようだった。あれ?この感想、ヤンソンスとBRSOのときも書いてるな(ヤンソンスのときは指揮棒から音楽、だったけど)。でも本当にそう思えたんだもの。きっとそんな風に魔法のように感じられる瞬間って、自分の中では特別に気持ちよく音楽を聴いているサインなのかなと考察したりして。

 シベリウス:交響詩「フィンランディア」
 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン)
    ソリストアンコール:バッハ:ヴァイオリンのためのパルティータ 第三番よりジーク
 シベリウス:交響曲 第5番
  アンコール:シベリウス:悲しきワルツ
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# by tigersandcatlover | 2015-03-01 20:37 | その他の舞台 | Trackback | Comments(0)

ビリー・エリオット ミュージカルライブ

観た、泣いた、そしてまた舞台を観たくなった。

もうそれしか書けないや。

大好きな大好きなシーン。初代ビリーが本当に大人になって一緒に舞台に立つなんて。物語と現実の境目がなくなってしまうような。
~キャスト~

Billy Elliot: Elliott Hanna
Mrs. Wilkinson; Ruthie Henshall
Dad; Deka Walmsley
Billy's older self; Liam Mower
Grandma; Ann Emery
Michael Caffrey; Zach Atkinson
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# by tigersandcatlover | 2015-02-13 11:55 | 映画 | Trackback | Comments(0)

四代目中村鴈治郎襲名披露 二月大歌舞伎

 四代目にちなんでの四羽の鴈。
 新春に続いての鴈治郎さんの襲名披露公演、夜の部へいってきた。今年初観劇。突然の仕事上のアクシデントで曽根崎心中を見逃してしまったが、連獅子に狐忠信と華やかで陽気な演目だったのでずっとニコニコしながら観ていた。特に最後の猿之助宙乗りでは、花道近くの桟敷席だったこともあり、口をあけて見上げてしまったよ。

 ああ、楽しかった。

(一、曽根崎心中

天満屋お初     坂田 藤十郎
平野屋徳兵衛 翫雀改め中村 鴈治郎
天満屋惣兵衛     坂東 彌十郎
下女お玉     中村 寿治郎
油屋九平次     中村 扇 雀
平野屋久右衛門     中村 梅 玉 )

二、連獅子

狂言師右近後に親獅子の精 翫雀改め中村 鴈治郎
狂言師左近後に仔獅子の精     中村 壱太郎
僧蓮念     市川 猿之助
僧遍念     尾上 松 緑

三、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜 川連法眼館の場
   
佐藤忠信/佐藤忠信実は源九郎狐     市川 猿之助
静御前     中村 壱太郎
駿河次郎     坂東 亀 寿
亀井六郎     中村 亀 鶴
川連法眼     市川 寿 猿
飛鳥     坂東 竹三郎
源義経     市川 門之助

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# by tigersandcatlover | 2015-02-05 11:42 | 歌舞伎・文楽 | Trackback | Comments(0)

あるときの物語 ルース・オゼキ 著

 NYから戻った翌週香港旅行に行くという強行軍のあと(ええそうなんです)、風邪ひいたり、おなか壊したり、とうだうだしてたら2月になってしまった。そんなわけで久しぶりのブログは旅行中に読んだ本の感想をば。

内容(「BOOK」データベースより)

カナダの島に暮らす作家ルースは、海岸に打ち上げられたハローキティの弁当箱を見つける。中に入っていたのは、古びた手紙と腕時計、そして日記だった。日記の持ち主は、東京の中学生ナオ。彼女が書き記す日々の話に、ルースは次第に引き込まれていく。しかし、いじめに苦しむナオは自殺をほのめかす…カナダと日本、現在と過去で響きあう時間と存在。深い思索と笑いと哀しみに満ち、世界を虜にした壮大な物語。


 冒頭のっけからからいじめの被害者となっている十代の女の子(日本人・帰国子女)の日記で始まり(正直ちょっとそのパートは読みづらくてしんどかった)、その日記を読む女性作家の生活といったり来たりしながら物語は進む。

 本作は哲学書では決してないんだけれど、昔読んだ「ソフィーの世界」を少し思い出した。ああ、なんか微妙にネタバレになっちゃうかな。まあ、あそこまでではないんだけれど。ルースが飼ってる猫の名前がシュレーディンガーということもにんまり。ルースの夫が一番共感できたかもかも。
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# by tigersandcatlover | 2015-02-03 16:56 | 読書 | Trackback | Comments(0)

アメーリカーンな食事あれこれ

 観劇旅行の合間に食べたものの備忘録。

 到着日駆けつけ観劇のあとはソーロンタン。ここ数回の滞在で毎回訪問してたのだけれど哀しいかな1月1日をもって閉店してしまった・・・。
 二日目はCherche Midiでステーキとハンバーガーという「アメリカらしい」ランチ。
 同じくソワレ後はチキンオーバーライス。
 深夜の禁断にMaison Kaiserのケーキをば。実は滞在中もう一度この禁断を破ってしまったわw
 三日目の朝はFairwayで朝食。このトマトタルト、意外にいけた。
 コンサートのあとリンカーンセンター前のEd's Chowder Houseでクラムチャウダーとロブスタロールを。ここはあたりだったな〜。また観劇後にリピートしたい。
  大晦日は朝食もそこそこに夕食の買い出しに。そのままマチネみたのでお腹ぺこぺこ。けれどソワレまで間がないのでホットドッグをテイクアウトしてホテルで食べる。
 そしてソワレ後は部屋で。なんかサバイバルな感じだなあ・・・。
 夜更かしし過ぎて昼まで寝てしまった元日。今回唯一まともな夕食はAi Fioriにてプリフィクスのコースを。こちらは最後のデザート。
 最終日の昼食は結局Fairwayのハンバーガーで〆。
 (やっぱりちゃんと食べてない、って叱られそうだな・・・)
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# by tigersandcatlover | 2015-01-18 12:35 | 14/NY・GVA・NY | Trackback | Comments(0)

The Merry Widow

 大晦日は三年連続となるMETガラ観劇。今年はThe Merry Widow(原題:Die lustige Witwe)。昨年のDie Fledermausに引き続きウィーン初演のオペレッタを英語バージョンで。

 今年も贅沢な席で楽しませていただきました(幕間の振る舞い酒、おかわりしちゃった♡)
 耳慣れた音楽、華やかな演出、芸達者な役者さんたち。特に今回はミュージカル界からケリー・オハラ嬢が出演ということで注目されていたのだが、さすがのコメディエンヌぶりでいい意味でオペレッタそのものだった。歌に聴き入ってうっとりというより芝居を楽しむという感じ(褒めてます)。
 惜しむらくはこの季節のリンカーンセンターの風物詩だったクリスマスツリーがなくなっていたこと(経費節減らしいが、そりゃないよ・・・って感じだったな。来年は復活求む!!)。
Hanna Glawari; Renee Fleming
Count Danilo Danilovich; Nathan Gunn
Valencienne; Kelli O'Hara
Baron Mirko Zeta; Sir Thomas Allen
Camille de Rosillon; Alek Shrader
Njegus; Carson Elrod

指揮;Sir Andrew Davis

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# by tigersandcatlover | 2015-01-17 14:18 | 14/NY・GVA・NY | Trackback | Comments(0)

The Nutcracker@NY City Ballet

 さて大晦日。マチネにはクリスマスから年末の定番バレエ:くるみ割り人形を観た。60周年を迎えたNYcity balletの公演であります。ジョージ・バランシン演出。
 演目が演目だけあって劇場には可愛らしいお客さんがたくさん。

 まーあ、とにかく可愛らしい演出。子供たちが大活躍(しかも上手!)前半は裕福で暖かい家庭のクリスマスパーティの様子が楽しげに、後半はまるで砂糖菓子のような子供らしい夢の世界。童心にかえらせてもらった。そしてNYに暮らしていた幼稚園のころのクリスマスを思い出してちょっとうるっとしちゃった。

 衣装の一部が展示されていた。このねずみがツボw
 
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# by tigersandcatlover | 2015-01-15 19:38 | 14/NY・GVA・NY | Trackback | Comments(0)

NYP+Trifonov

 とっとと書かんと忘れてしまうわ・・・

 さて折り返し。ここからはリンカーンセンター三連発。まずは30日ソワレにNewyork Philharmonic の定期演奏会をば。過去2年連続でリハ見学はしていたけれど本番は実は全くの初めて。
そのリハとそれほどお値段変わらない席(30ドルちょっと)。隣には小学生くらいの女の子連れのお母さん。ずっとその女の子が可愛らしく楽しそうに指揮をしていて、普段ならちょっといらっとするところだけれど、まあ安席だからええかあ、と妙に寛容になったりして(笑)。

Rimsy Korsakov; Capriccio espagnol, Op.34
Rachmaninoff; Piano Concerto No.1 in F-sharp minor, Op.1
Piano: Daniel Trifonov
アンコール Debussy; The Reflection of the water
Tchaikovsky; Symphony No.6 inB minor, Op.74

Conductor; Juanjo Mena

 ラフマニノフピアノコン1の緩急の付け方の派手さ加減はTrifonovくんならではかと思いきや、チャイコフスキーもなかなか独特のテンポだったのでどうやらMena氏のカラーなのかも。ケレン味たっぷりとでも言いましょうか。けれどイヤミじゃないのだ。華やかで楽しい選曲で年末気分も盛り上がったなあ。悲愴はやっぱり第三楽章で盛大に拍手出てたな〜。って拍手するなというほうが無理な曲だわよねww
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# by tigersandcatlover | 2015-01-13 20:41 | 14/NY・GVA・NY | Trackback | Comments(0)

Hedwig and the angry inch

 二度目のHedwig。GWに冒頭見逃してしまったリベンジ。

〜キャスト〜

Hedwig; Michael C. Hall
Yitzhak; Lena Hall
Skszp; Justin Craig
Jacek; Matt Duncan
Krzyzhtoff; Tim Mislock
Schlatko; Peter Yanowitz

 NPHに比べるとマイケルさんはゴツくて決して美しくはない。ないのだが、まるでNPHショーだった前回に比べてヘドウィグの物語がずしんと胸に来たのは何故だろう。やはり最初からちゃんと観れたせいか?w いやでも実は意外に見逃した時間は短かったのだよね (Origin of Loveからは観れていた)。あとからつらつら思い出していたのだけれど、マイケルさんはヘドウィグのドイツ語なまりの英語をはじめ、彼の語る人物の口調による演じ分けがより細く感じられた。そのぶんヘドウィグの人生がくっきり見えたような気がする。こうやっていろんなキャストの違いを観ることで理解が深まるのはリピートならではよね。ってよく考えたら海外観劇で一つのミュージカルをリピートしたのってTdVにElisabeth、そしてLes MisとこのHedwigになるのかな。他三つは本当に大好きな作品と断言できるんだけど、この作品もone of the best に数えることになるのかしらん(今はまだ自分でもわからない)。

 それにしても1月21日からのJohn Cameron MitchellのHedwigを観ることのできる人たちが心底羨ましいよ!
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# by tigersandcatlover | 2015-01-08 23:15 | 14/NY・GVA・NY | Trackback | Comments(0)
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