リスボンへの夜行列車 パスカル・メルシエ 著
昨年秋に観た映画 リスボンに誘われて (→感想日記)の原作本をようやく読んだ。せっかく映画化されたのに文庫版はおろか単行本も販売されておらず(中古のみ)、図書館でようやく借りることができたのだった。再販すれば売れると思うのにもったいないなあ。
内容(「BOOK」データベースより)
古典文献学の教師ライムント・グレゴリウス。五十七歳。ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語に精通し、十人以上の生徒と同時にチェスを指せる男。同僚や生徒から畏敬される存在。人生に不満はない―彼はそう思っていた、あの日までは。学校へと向かういつもの道すがら、グレゴリウスは橋から飛び降りようとする謎めいた女に出会った。ポルトガル人の女。彼女との奇妙な邂逅、そしてアマデウ・デ・プラドなる作家の心揺さぶる著作の発見をきっかけに、グレゴリウスはそれまでの人生をすべて捨てさるのだった。彼は何かに取り憑かれたように、リスボンへの夜行列車に飛び乗る―。本物の人生を生きようとする男の魂の旅路を描き、世界的ベストセラーを記録した哲学小説。
原作あっての映画なので当然ながら原作のほうが設定がいろいろ込み合っていて登場人物も多い。本筋はもちろん同じなのだけれど。映画では大事な登場人物が省かれているのが気になったりもしたし、逆に追加されていたやや甘っちょろいエピソードはいらないような気もしたけれど、それをあれこれ言ってもしょうがない気もする。ともあれ、ライムントが強烈に心ひかれたというアマデウの文章が映画よりずっしりと重みをもってボリュームたっぷりに読めたので満足。どの一節も読み返してしまうほどに重層的で哲学的。作者であるメルシエは本業は哲学研究だからこその読み応えだった。
しかし思うに、プロとしての覚悟なしに自分の書いた文章を、死後に全くの他人が読んで自分の思考や人生をつまびらかにしていくというのは、たとえそれが的外れでなかったとしても、かなり恥ずかしい。ブログやSNSで書き散らかした文章も自分の消滅と同時にしゅわっと消すような設定にはできないものだろうかねえ。
内容(「BOOK」データベースより)
古典文献学の教師ライムント・グレゴリウス。五十七歳。ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語に精通し、十人以上の生徒と同時にチェスを指せる男。同僚や生徒から畏敬される存在。人生に不満はない―彼はそう思っていた、あの日までは。学校へと向かういつもの道すがら、グレゴリウスは橋から飛び降りようとする謎めいた女に出会った。ポルトガル人の女。彼女との奇妙な邂逅、そしてアマデウ・デ・プラドなる作家の心揺さぶる著作の発見をきっかけに、グレゴリウスはそれまでの人生をすべて捨てさるのだった。彼は何かに取り憑かれたように、リスボンへの夜行列車に飛び乗る―。本物の人生を生きようとする男の魂の旅路を描き、世界的ベストセラーを記録した哲学小説。
原作あっての映画なので当然ながら原作のほうが設定がいろいろ込み合っていて登場人物も多い。本筋はもちろん同じなのだけれど。映画では大事な登場人物が省かれているのが気になったりもしたし、逆に追加されていたやや甘っちょろいエピソードはいらないような気もしたけれど、それをあれこれ言ってもしょうがない気もする。ともあれ、ライムントが強烈に心ひかれたというアマデウの文章が映画よりずっしりと重みをもってボリュームたっぷりに読めたので満足。どの一節も読み返してしまうほどに重層的で哲学的。作者であるメルシエは本業は哲学研究だからこその読み応えだった。
しかし思うに、プロとしての覚悟なしに自分の書いた文章を、死後に全くの他人が読んで自分の思考や人生をつまびらかにしていくというのは、たとえそれが的外れでなかったとしても、かなり恥ずかしい。ブログやSNSで書き散らかした文章も自分の消滅と同時にしゅわっと消すような設定にはできないものだろうかねえ。
by tigersandcatlover
| 2015-04-24 21:04
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舞台と音楽と本と、ときどき旅行。
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