カテゴリ:17/ZRH MUCバイロイトLA NY( 14 )

Dear Evan Hansen

 幸せなリピート(→前回の日記)。
e0164774_14390369.jpg

 前回の年末年始に、トニー賞有力候補と友人に教えてもらってなんの予備知識もなく観て前半から涙が止まらなかったこの作品。前評判通りに作品賞・主演男優賞など最多6部門を取ったわけだけれども、その後何度も音源を聴いて、もう一度観たい欲が高まっての観劇となりました。ベンは残念ながらエヴァンの役を降りてしまったけれど、その他のキャストはまだほとんど去年のまま。

 現エヴァンのノア君。素晴らしいし、むしろベンより演技と歌の差がなく繋がってる感じがリアルだった。だが、あのベンが歌い始めた瞬間のエヴァンのおどおどした殻が霧が晴れるようにとれて彼の内面の透明感みたいなのがふわぁっと現れるゾクゾク感みたいなのはなかったな。あれはベンの個性なんやろな。

 ゾイのローラさんは去年より少しふっくらしてティーンエイジャーという感じが少なくなっていたけれど、声に厚みが増していた。そしてやっぱりお母さん達。もうね、So Big/So Smallでは Is there another truck~の始まりくらいでパタパタと涙が垂れてしまった・・・。前回はエヴァンの孤独にばかり目が行ってそこが泣きポイントだったんだけど、今回はお母さん達に感情移入しまくったわあ。子供を産み育てた経験が無くてもこんなんだから、さぞかしリアルお母さん達は胸ぐらを掴まれるような作品なんではないだろうか。

Cast
Evan Hansen; Noah Galvin
Heidi Hansen; Rachel Bay Jones
Connor Murphy; Mike Faist
Cynthia Murphy; Jennifer Laura Thompson
Zoe Murphy; Laura Dreyfuss
Larry Murphy; Asa Somers
Alana Beck; Kristolyn Lloyd
Jared Kleinman; Will Roland
 

[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-24 14:39 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Miss Saigon

e0164774_21004009.jpg
 2018年観劇始めはミス・サイゴン。あまりの素晴らしさにリピートしてしまった25周年のロンドン公演のHDのときのキム・エンジニア・クリスが出演しているということ、元日に公演があるということでめでたく観劇リスト入り。

 がが、プレイビルに不幸の白い紙が…なんとエンジニアがジョンジョンではなかった・・・。が!やはりこの作品はキムがキモ。エヴァちゃんキムはさらにさらに良くなってた。特に後半の母になってからの演技は瞬間瞬間目が耳が離せないほど。クリスとの相性も素晴らしくもう他のミスサイゴンでは満足できなくなりそう。

 東洋人である個人的な見方としてはトゥイの死に際がどんな風かでこの物語の感動がいつも変わってくるんだけど、この日はキムに手を差し伸べるようにして倒れて行き、その手を両手で握りしめて号泣するキムでまずは落涙。こうなるともう泣きスイッチがしっかり入ってしまって、キムがホテルの部屋でエレンと対峙するところでは嗚咽をこらえなければならないくらいになってしまったわ〜。まさに滂沱の涙。
e0164774_21004897.jpg
Cast
The Engineer; Billy Bustamante
Kim; Eva Noblezada
Gigi; Dorcas Leung
John; Nicholas Christopher
Chris; Alistair Brammer
Thuy; Devin Ilaw
Ellen; Katie Rose Clarke



[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-23 12:19 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Tosca


e0164774_20172403.jpg
 5年前から毎年年末にNYへ来させてもらってるんだけど、その毎回楽しませてもらっているMETのガラで、2017年の観劇ライフも締めくくることができました。

 予定されていた指揮者やら主要キャストやらがほぼ全員交代してしまったというこの作品。もちろん残念な気持ちもあったけれど、その代役たる主役二人が今がまさに旬の歌手と言うこともあり、大大満足な一夜でありました。

 印象的だったのは観客席の反応。冒頭幕が上がって舞台の全景が見えたとき、主役二人が初めて登場する各シーンに暖かい拍手が。まるで歌舞伎か宝塚のようでニンマリ。度重なる出演者の変更、前回のプロダクションの演出、さぞや忸怩たる思いがあったのだろうなあ。もっと単純で素直な拍手だったかもしれないけれど。

e0164774_20174754.jpg
e0164774_20180780.jpg

 もーう、可愛い可愛いグリゴロくん。トスカがやってきたときに教会の聖水で顔を洗って濡れた手を髪で拭いて・・・で客席から大きな笑い。こういう演技にキュンとさせられるのは彼ならでは。ヨンチェバとの相性もばっちり。アンコールのときに台の下に引っかかった客席からの花束を手を伸ばして取ってヨンチェバに渡していてさらに萌えたわ~。彼の全幕ものはマノン、ロミジュリ、そして今回のトスカと三回目。前2作もイタリア人テノールらしい明るくスコーンと抜ける声にメロメロっとなったけれど、今回が一番キャラに合ってたと思う(それとも少し声が変わったのかも)。彼のイタリアオペラをもっと聴きたいわあ。ちなみに今回が初役だったとのこと(ROHで今後歌う予定にはなっている)。

e0164774_20183468.jpg

 初役といえば、ヨンチェバもそうだった。2017年5月のミュンヘンで彼女のヴィオレッタを全く予備知識なしで観て、うわーーーー!と思って他の役もぜひ観たい!トスカとか似合いそう~~と思っていたところだったので交代で彼女の名前が出たときは嬉しかったなあ。当初は同じときにかかっているフィガロの伯爵夫人にキャスティングされてたところからのスライド登板だったのだけれど、そりゃ~トスカ受けるでしょう!だよね。ヴィオレッタのときはアルフレートとの声のボリュームに差がありすぎて(ヴィオレッタ>>アルフレート)気になってしまったのだけれど、グリゴロくんとだと全くそういうこともなく、ただルチッチとのやりとりではまたしてもヴィオレッタ>>>スカルピアになってしまってて2幕の緊迫感が薄らいでしまったのだけが難だったかも。

 生舞台っていうのは予定されていたキャストが全員そろってっていうのは本当に難しいんだなあとここ数年痛い目に合って身に染みてわかっているのだけれど、交代で物足りないとかちょっと寂しいとか全く思わない舞台は珍しくも嬉しい誤算。それもまた観劇の醍醐味ってことですわね。

Tosca...................Sonya Yoncheva
Cavaradossi.............Vittorio Grigolo
Scarpia.................Zeljko Lucic
Sacristan...............Patrick Carfizzi
Spoletta................Brenton Ryan
Angelotti...............Christian Zaremba
Sciarrone...............Christopher Job
Shepherd................Davida Dayle
Jailer..................Richard Bernstein
Conductor...............Emmanuel Villaume
Production..............David McVicar
Designer................John Macfarlane
Lighting Designer.......David Finn
Movement Director.......Leah Hausman



[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-22 18:01 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

The Band's Visit

 今回滞在中唯一の雪の日。でもどうせインドア活動だからねw
e0164774_19532182.jpg

 てことで三本目はこちら。
e0164774_19541373.jpg
 2018年トニー賞に絡む可能性ありという作品。2007年のイスラエル映画:邦題「迷子の警察音楽隊」を舞台化したもの。映画のDVDを友人に借りて、なんともほんわかした気持ちになった勢いでチケットを買った。

 ただ舞台への感想はちょっと辛口。物語はエジプトの警察音楽隊がイスラエルでの招待公演に出演すべくやってきたものの、出迎えもなく自力で目的地に行こうとしたところ、街の名前を間違えてバスで砂漠に囲まれたホテルもないような小さな町に辿り着いてしまい、そこで市井の人に一夜の宿を借りるというもの。映画ではその町の佇まいというか、砂漠や空港のがらーんとしたヒト気のないところに警察の制服をかっちり着た音楽隊が紛れ込むというミスマッチな可笑しさがツボなだけに、その「なにもなさ」を表現するのに舞台というのはかなりハンディだなあと思った。それはミュージカル版プリシラで感じたときの物足りなさに似ていて・・・。そんなわけで、ちょっぴりスイマーに襲われてしまった。

 素晴らしかったのはアンコールがわりの民族楽器なども使っての生演奏。

Dina; Katrina Lenk
Tewfiq: Tony Sharhoub
Itik; John Cariani
Haled; Ari'el Stachel
Camal; George Abud
Papi; Etai Benson
Telephone Guy; Adan Kantor
Avrum; Andrew Polk
Elger; Bill Army
Julia; rachel Prather
Sammy; Jonathan Rativ
Anna; Sharone Sayegh
Iris; Kristen Sieh
Simon; Alok Tewari
The Band; Ossama Farouk, Sam Sadigursky, Harvey Valdes, Garo Yellin



[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-15 20:09 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Sweeney Todd

 二本目はこちら。
e0164774_07375811.jpg
 去年観劇した友人に薦められていくことにしたオフブロードウェイのこの舞台。Barrow Streetに面した小さな公民館みたいなスペースをラヴェット夫人のパイショップに見立てて100席ほどの観客を入れてという贅沢さ。ホールに入っただけでもうわくわくしてくる。
e0164774_07392934.jpg
e0164774_07394767.jpg
 とにかく演出が面白いから観て!というのがその友人談だったのだけれど、さもありなん。客席がパイショップの食卓になっているので開演前にそこでパイが食べられたり(全席で食べられるわけではないのと公演チケットを買うときに申し込んだ人のみに対応。ちなみに私はホリデーパイを注文)、出演者がテーブルの上に乗って歌ったり、観客の頭を撫でたり(毛生え薬のシーンで該当男性客たちの頭を触りまくっていたw)、はたまた客の首にスイニーが布を巻いたり・・・。客席がそのままステージと融合してしまうさまにガラスの仮面の「忘れられた荒野」のある週の演出を思い出した。もちろん生歌。演奏はピアノとクラリネットとヴァイオリン(あとはスプーンや食器を叩く音にもちろんあのピーッと不吉な笛の音!!)

 出演者は10人ほど。すでに初演からはキャスト変更後ではあったのだけれど、ファントムで有名だったヒュー・パナロがスイニーを、パレードでオリジナルキャストを演じたキャロリー・カーメロがラヴット夫人がキャスティングされていたのだが、この日はラヴェット夫人とトビーが代役。けれどけれどそんなことは全く不満に数えあげる必要もないほどに素晴らしい観劇体験でありました。
e0164774_07384028.jpg
 今もし、いろんな舞台を一通り観てしまっている友人に「NYに行くんだけど何かおすすめの舞台はない?」と訊かれたら、私も前述の友人のようにこの作品を推すに違いない。間違いなくこれまでしたことない経験ができますよ、と。席は必ずパイの食べられるテーブル席にしてね、と申し添えて。


[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-12 13:08 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Springsteen on Broadway

 嬉しい恒例となっている年末年始のNYへのエンタメ旅へ行って参りました。去年はオペラ中心でBWは1本だけだったのだけれど、今年は逆にオペラ1本にミュージカル5本という内訳となりました。隙間が空いてるのはプレイビルを貰い損ねてしまった作品(私が帰国したあと観劇する友人に私の分も貰って来てもらいましたw)。
e0164774_09192108.jpg
 聴き入ったりびっくりしたり少しうとうとしたりw泣いたり泣いたり泣いたり、のどれも素晴らしい作品でああやっぱり私は生の舞台が好きだなあ、と実感しましたよ。

 さて、到着日に観た一本目はBossたるスプリングスティーンの舞台。複雑なチケット争奪戦を勝ち上がって友人が取ってくれた敢えての天井桟敷席はこんな眺め。まわりは我々と同年代くらいのおっちゃんたちで一杯。もう待ちきれない、とばかりのわくわくムードにこちらまでドキドキしてくる。
e0164774_09244407.jpg
 当初この公演のアナウンスを聴いた時はアコースティックコンサートということだけだったので、正直どんな感じになるのか予想できていなかった。彼が普段コンサートをする会場に比べたらぐっと狭いBWの劇場での公演ということでなんて贅沢なことだろう、というくらいの認識だったし。で、始まってみると、休憩なし2時間超の濃密な彼の人生語りだった。まるでブルース版ヘドウィグのよう。歌っている時間は半分くらいで残りは語りなのだけれど、それがまるで歌うようなリズムで心地よい。最初はどういう方向性にいくのか分ってない上に英語がすんなり頭に入ってこなくて入り込みにくかったが、彼の父親の話に至るところあたりからはすとんと彼の人生に伴走している気分になった。そしてなんと言ってもあの声!あの少し掠れたセクシーな声で節をつけるように語る様はまるでオペラのレチタティーヴォを聴いているようだった。

 たった1人で、ギターにピアノにハーモニカを駆使してのアコースティックな弾語りで時折マイク外しての生歌。同じ空間にいることに感謝という彼の言葉が沁みたわぁ。



[PR]
by tigersandcatlover | 2018-01-08 09:39 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

The Red Shoes X3

e0164774_10373356.jpg
 マシュー・ボーン率いるNew Adventuresの新作:The Red Shoesの公演を観に秋分の日の連休をつかって弾丸してまいりました。現地滞在わずか32時間。金曜の夜出発するANA便に乗り、金曜の夕方LAに到着し、そこからソワレを一本、翌日はマチソワして日曜の0時過ぎ発の便で月曜早朝日本へ戻ってそのまま仕事をするという、休みをとらずにすむ一泊四日という超ハード弾丸。さすがにここまでのはしたことないなあ~と苦笑しつつ。

 なぜこないな無謀な弾丸をすることにしたかというと、3年前にNAのSwan Lake来日公演で観てダダ嵌りしてしまったマルセロ・ゴメスさんがゲスト出演することになったから。当初アメリカツアーが決まった時はまだ発表になっていなかったのだけれど、今回の会場であるAhmanson theatreでの公演の発売日直前にそのニュースが入ってきたのだった。LAなら弾丸でも行ける!しかもちょうど連休と重なってる!!ってんで、公演ごとのキャストが発表になる前に3公演分のチケットを買ってエアも確保してしまった。3つもあれば一公演は出演してくれるだろう、の思いを込めて。結果的には公演数週間前に公演ごとのプリンシパルキャストが発表され、ギリギリ確保した最後の日にマルセロの初日を目にできることがわかってホッ。そしてそれがわかった途端にぽっかり空いていた前方センターの良席に買い直したら、同行の友人がその隣をほぼ同時刻に買ったことがわかったのもご愛嬌。

 そして負け惜しみではなく、本当にいいタイミングだった。一度目はまっさらな状態で全体を観て、二度目は少し細かくチェックして、最後の三回目は思う存分マルちゃんだけを目で追うことが出来た(怪しい観劇態度w)。前2回のドミニクのジュリアンもキャラがあっててよかったんだけど、そのぶん差というか違いがくっきり分かって面白かった。

 その三度目はジュリアンばかりを目で追っていたせいか、ドミニクのときは少し分かりにくかった、2人が恋に落ちる過程がマルちゃんのときは初対面からの細かい演技の積み重ねですごくストンと来た。あと、ジュリアンの人物設定も。リーディンググラスかけてるんだから、音楽を愛しつつ芽が出なかったお堅い中年男性なんだよね。だからヴィクトリアを始め小馬鹿にしたように、こんな簡単な曲楽譜なんていらないよ、な態度をとる。でも彼女の踊りをみてみるみるやるじゃないか!の愉快めいた表情に。

 その堅い彼が、The Red Shoesの予稿をみて魅せられて、殻に入ってた音楽への情熱を解放する踊りは本当に鳥肌が立った。ああ、これから観ることができる人が羨ましい〜。きっとさらにどんどんエモーショナルになっていくんやろな。

 最後にはぐぐっと泣けたし、何より彼の初日を見届けられたというのが嬉しい。

 もともと観劇自体は好きなんだけれど、ある特定の出演者のことを考えるとドキドキしてしまうようなことはなかったので、スワンのマルちゃんにダダ嵌りした時は自分でもびっくりして、マルちゃん自身に嵌ったのか・NAに嵌ったのか・それともその二つの融合であるゴメスワンに嵌ったのか自分でもよくわからず、そのどれかをはっきりさせたい気持ちにもなった。それからバレエガラでマルちゃんの踊りを観たり、NAのCarmanやSleeping Beautyを観たりしたけれど(Carmanのロンドン公演は日程があわず彼の舞台を観ることができなかった無念もありつつ)今回スワンから三年ぶりに彼の全幕通しての演技を観て、そんなことどうでもよくなった。ともかく惹かれるものは惹かれるんだよ!
e0164774_10114836.jpg

9/22 ソワレ
Boris Levermontov;Sam Archer
Victoria Pago;Ashley Shaw,
Julian Craster;Dominic North,
Irina Boronskaja;Anjali Mehra
Ivan Boleslawsky; Liam Mower
Grischa Ljubov; Glenn Graham

9/23 マチネ
Boris Levermontov;Sam Archer
Victoria Pago;Cordelia Braithwaite
Julian Craster;Dominic North
Irina Boronskaja; Nicole Kabera
Ivan Boleslawsky; Liam Mower
Liam Mower, Leon Moran

9/23 ソワレ
Boris Levermontov;Sam Archer
Victoria Pago;Ashley Shaw
Julian Craster;Marcelo Gomes
Irina Boronskaja;Anjali Mehra
Ivan Boleslawsky;Liam Mower
Grischa Ljubov; Glenn Graham


[PR]
by tigersandcatlover | 2017-09-27 11:03 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Die Meistersinger von Nürnberg

 いつもそういう幸運な舞台体験ばかりにあたるわけじゃないんだけれど、オペラを観ていて、何も考えずに物語の世界にストンと入ってしまうことがある。バイロイトでの観劇4回目にしてこのマイスタージンガーはその幸運な体験の一つになったなあ、と終演後まだその物語の中にいるような気分が続いている。

 そんなわけなのでまた考察することもなくつらつら備忘録的に。

・名演出だと思う。洗練とノスタルジックの混在。もの凄く重層的。なんども観たくなるような、隠された意味を捜してしまうような。この楽劇を・素晴らしい演奏を楽しみながら、頭の芯で暗いものを読み解くような不思議な感覚になった。一幕の登場人物をワグナー・ヴァンフリートのサロンに実際にいる人々・そしてワグナーが頭の中で紡ぎだした人物の混在が演じるという劇中劇的な部分からもうぞくぞくしてしまう(ワーグナーがザックス、コジマがエーヴァ、リストがポーグナー、ピアノから出てきたワーグナーがヴァルター、レヴィがベックメッサー、女中がマクダレーネというわけ)。特にユダヤ人指揮者であるヘルマン・レヴィにベックメッサーを演じさせるというところからの導入が見事。

・フォークトさんの生オペラはたった3回しか聴いていないけれど、こんなにくらくらっとしたのは初めて。ふわっと包まれるような豊穣な声にうっとり。初演時のNYタイムズの劇評ではハーフスロットル、と評されていたが、この日は全くそんなことなく一幕から完全にフルスロットルだったと思う。このまま最後まで保つかしら・・・との心配も杞憂。

・フォッレさん。映像でしかみていないが、前回のマイスタージンガーでのベックメッサーの怪演が印象的だったので、キャストが発表された当初、え?ザックス?と少々ミスマッチに感じてしまっていた。すいませんすいません。当時に比べてふくよかになられているのかな?最後のザックスの演説の温かいこと。いつまでも聴いていたかった。あ〜もう終わってしまう・・・と違う意味で涙してしまったよ。

・Kränzleさん演じるベックメッサー、この演出のせいかもしれないけれど、可愛そうなんだけど可愛らしい(変な日本語だw)。

・どの幕も最後にぞわり、とさせられるんだけど、特に一幕ラスト。ヴァンフリートのサロンが後ろへ下がって行くと、そこには突然600号法廷が姿を現す。連合国の旗に冷たい蛍光灯の光、そして兵士。それまでただ楽しい気分で観ていたのが一瞬にしてヒヤリ、と鳥肌が立った。この瞬間のぞわぞわ感を少しでもきちんと味わうために、ニュルンベルグ裁判所へ足を運んだんだ、と思った。もちろん、ドイツはじめヨーロッパの人たちの感じ方の半分もできていないだろうけれどね。
e0164774_21444092.jpg
e0164774_21451566.jpg
ConductorPhilippe Jordan
DirectorBarrie Kosky
Stage designRebecca Ringst
CostumesKlaus Bruns
Choral ConductingEberhard Friedrich
DramaturgyUlrich Lenz
LightingFranck Evin
Hans Sachs, SchusterMichael Volle
Veit Pogner, GoldschmiedGünther Groissböck
Kunz Vogelgesang, KürschnerTansel Akzeybek
Konrad Nachtigal, SpenglerArmin Kolarczyk
Sixtus Beckmesser, StadtschreiberJohannes Martin Kränzle
Fritz Kothner, BäckerDaniel Schmutzhard
Balthasar Zorn, ZinngießerPaul Kaufmann
Ulrich Eisslinger, WürzkrämerChristopher Kaplan
Augustin Moser, SchneiderStefan Heibach
Hermann Ortel, SeifensiederRaimund Nolte
Hans Schwarz, StrumpfwirkerAndreas Hörl
Hans Foltz, KupferschmiedTimo Riihonen
Walther von StolzingKlaus Florian Vogt
David, Sachsens LehrbubeDaniel Behle
Eva, Pogners TochterAnne Schwanewilms
Magdalene, Evas AmmeWiebke Lehmkuhl
Ein NachtwächterKarl-Heinz Lehner

[PR]
by tigersandcatlover | 2017-08-22 13:00 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

マイスタージンガーなニュルンベルグあれこれ

 もう一つ観た演目は新演出のDie Meistersinger von Nürnbergなんだけど、その感想を書く前に、今回バイロイト入りする前に前泊したニュルンベルグのスナップあれこれ。

 ニュルンベグル泊の主目的はもちろん、こちらw。
e0164774_9524141.jpg
昨年は開店時間と列車の時間の都合で入れなかったHeillig-Geist-Spitalへ。夕食だけでは飽き足らず、翌日の昼食もここでリピート。

↓ブルスト以外に食べたもの。↓
e0164774_957236.jpg
e0164774_957484.jpg
Museum-brückeからのぞむ店外観。まるでルネ・マルグリットの絵のようだわ〜。
e0164774_9551699.jpg
お店のすぐそばのハンス・ザックス像にもご挨拶。
e0164774_959178.jpg


 さて、実は出発直前になってもう一つ是非行ってみたい場所が増えたのだった。というのも今回のBarrie Kosky氏による新演出、どうやらかのニュルンベルグ裁判に用いられた法廷を舞台の上に再現しているというではないか。しかもまさにその600号法廷がそのまま残っていて、土日の午後のみ見学が出来るという。ちょうど土曜日泊だったこともあり、これは何かのお導きか?みたいな気分で見学することにした。
e0164774_1034564.jpg
e0164774_1043346.jpg
e0164774_1045394.jpg
左は当時の写真。
e0164774_105432.jpg
法廷だけではなく、ニュルンベルグ裁判の記録がかなり詳しく展示されていて、そこには東京裁判についても触れられていた。これまで訪問したドイツの都市はそれほど多くないが、どこも必ず第二次世界大戦のあとの傷跡をきちんと残している(それも意図的に)。

 ニュルンベルグ裁判となるとどうしてもナチズムからは逃れられない。ということでZeppelin広場へ足をのばした。
e0164774_1017153.jpg
e0164774_1017333.jpg
e0164774_10175391.jpg
記録映像でみたあの場所に今いるのだ、と胸に刻みながら。
[PR]
by tigersandcatlover | 2017-08-20 10:23 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY

Parsifal@Bayreuth

e0164774_23185750.jpg
 昨年に引き続いてバイロイト音楽祭を再訪してきました。今回も2演目だけの参加なんだけど昨年と違って本当に観たかった演目2つなので満足度がむちゃ高かった。特に前回どうしても取れなくて悔しい思いをしたパルジファルの開演前は一年越しでようやく観ることができるということで始まる前からちょっとうるうるしていたかも。 

 まだ正直ちょっと消化しきれてなくてふわふわした感じなのでまとまりないメモみたいな感想を羅列。放映された昨年の映像とつい比べてしまいつつ。

 ・パルジファル以外は昨年と全員同じだな〜と思っていたらこの日はクリングゾル役がWerner Van Mechelenさんに変更になっていた。Weltonさんよりちょっと丸い感じ。
e0164774_23193378.jpg
(2幕のカーテンコール。一番下手が彼)

 ・席は8列目ほぼセンター。右前に少し大きい男性が座ってしまったのでややビューラックだったけれど、二幕目だけは誰かと席を交替したようでやや見やすかったかな。オペラグラスがなくてもしっかり表情が見えるのはやはり嬉しい。音はひょっとしたらもう少し後ろの方が個人的には好みかも、と思った。単にバイロイトでの4演目のうち3演目はすべて15列目以後で聴いたせいかもしれない。

 ・ゼッペンフェルドさんのグルネマンツが絶品。彼の説明的な歌をいつまでも訊いていたいくらいに。逆にアンフォルタスは少々物足りなく。クンドリのパンクラトヴァさんは一幕声がぱっと聴こえてこなくて不安になったけれど、二幕はまあまあ(って何様?w)。ただ声が放散するように聴こえてしまい、ぐわっと前にこない気がしてしまったのは私のコンディションのせいかもしれん(前夜からの発熱でぼや〜としてしまってたのだった)。シャーガーさんは期待通りというかなんというか。ただ5月のヴィスバーデン神々の黄昏でのジークフリート聴いたときのあの弾けるような(こちらが笑ってしまうような)大音量ではなく、やんちゃじゃない声になってた。プロだから当然なんだけれど、やはり役柄で声を替えてるんだね〜。フォークトさんは何を演じてもフォークトさん、でそれがまた彼の魅力でもあるんだけど。

 ・聖杯の儀式中、シャーガーさんのパルジファルは苦しそうにしたり頭を抱えたりもうハナから「共に苦しみ」まくっていて、あの姿をみたらグルネマンツも彼が何者かわかったはずやのに〜と思った。去年のフォークトさんはただただ困惑しているだけだったので。どっちがいいとかわかりやすとかじゃなくて違いが面白いなあと。このあともシャーガーさんの演技はずっとト書で何考えてるかわかるような感じなんだけど、彼がオペレッタ出身と聞いてなるほどと納得。

・ここでの舞台では毎回思うけれどコーラスが本当に美しい。重層的なのにまるで一つの声みたい。騎士たちの怒りの声では集団心理の恐ろしさを感じるし、一幕と三幕の終盤なんかはもうまさに天上の声。

・セットの上に誰かいる?と思って単眼鏡で覗くと緑の服を着た人形が。妙にリアルだったので最初は大道具のスタッフさんかと目を凝らしてしまった。これ、三幕の一場以外はずっとそこにあるんだけれど、映像では最後の最後にちらっと写るまではフレームアウトしていて存在に気付かなかったんだよね・・・。ワグナーが俯瞰して見ているんじゃないかとか、救世者のメタファーなんじゃないかとか、一緒に観劇した友人達と話す。答えは出なかったけれど、そういうことをdiscussionさせるのも狙いなんだろうな、きっと。

・最終盤のコーラスのところぐらいで客電がついて客席全体が救済された気分になった。全般通してあったかい「パルジファル」でした。
e0164774_23203141.jpg
ConductorHartmut Haenchen
Marek Janowski (5.8.)
DirectorUwe Eric Laufenberg
Stage designGisbert Jäkel
CostumesJessica Karge
LightingReinhard Traub
VideoGérard Naziri
DramaturgyRichard Lorber
Choral ConductingEberhard Friedrich
AmfortasRyan McKinny
TiturelKarl-Heinz Lehner
Günther Groissböck (27.7.)
GurnemanzGeorg Zeppenfeld
ParsifalAndreas Schager
KlingsorDerek Welton
Werner Van Mechelen
(14.8)
KundryElena Pankratova
1. GralsritterTansel Akzeybek
2. GralsritterTimo Riihonen
1. KnappeAlexandra Steiner
2. KnappeMareike Morr
3. KnappePaul Kaufmann
4. KnappeStefan Heibach
Klingsors ZaubermädchenNetta Or
Klingsors ZaubermädchenKatharina Persicke
Klingsors ZaubermädchenMareike Morr
Klingsors ZaubermädchenAlexandra Steiner
Klingsors ZaubermädchenBele Kumberger
Klingsors ZaubermädchenSophie Rennert
AltsoloWiebke Lehmkuhl

[PR]
by tigersandcatlover | 2017-08-19 23:26 | 17/ZRH MUCバイロイトLA NY


舞台と音楽と本と、ときどき旅行。


by tigersandcatlover

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

カテゴリ

徒然やら日記やら
おでかけ
ミュージカル
歌舞伎・文楽
その他の舞台
読書
映画
野球(タイガース)
外食しました。
Sweets中毒
医療のハナシ
国内旅行
海外旅行 アジア
09/パリ・北欧・伊・VIE
10/AMS・パリ・VIE
11/NY・ロンドン・ドイツ
12/ ロンドン・スイス・NY
13/VIE・EDIetc・MUC・NY
14/NY・GVA・NY
15/NY・VIE・London・DRS
16/NY・SZGバイロイト・Paris
17/ZRH MUCバイロイトLA NY

タグ

(148)
(130)
(96)
(87)
(63)
(37)
(34)
(23)
(19)
(13)

リンク

フォロー中のブログ

むさじんの部屋
黒川雅子のデッサン  B...
♪♪♪yuricoz c...
別冊matc
vie naturell...
ひつじのお散歩
ひと呼んで、三毛猫ミヤコ。
バリ島生活を夢見て・・・...
liliaの 瞬間湯沸かし記
白日記
マダム日記デラックス2 ...
salon de luxe
SoCute, SoSw...
Mizuma Art G...
Regina×マダム松澤...
一寸先のキキ
Okei's Next ...
おいしい暮らしと楽しい記憶
ソプラノ 山口和子のブロ...

以前の記事

2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
more...

最新のコメント

こんにちは。 私も京都..
by desire_san at 08:38
みやさま いやホン..
by tigersandcatlover at 17:31
お奨めした手前、×だった..
by lilymiya at 14:20
みやさま 図書館待..
by tigersandcatlover at 16:21
図書館の予約待ちがなかな..
by lilymiya at 15:51
藍色さま コメント..
by tigersandcatlover at 15:56
なんとなくすっきりしない..
by 藍色 at 13:35
ユートーモさま コ..
by tigersandcatlover at 20:08
突然失礼します。 コン..
by ユートーモ at 17:20
あっくん どっちも..
by tigersandcatlover at 18:00

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

旅行・お出かけ
演劇

画像一覧