カテゴリ:読書( 192 )

5月以降読んだ本羅列

帰ってきたヒトラー ティムール・ヴェルメシュ
 ヒトラーが永い眠りから目を覚ましたところは現代のベルリンだった・・・。という物語。いやもう、先日のアメリカ大統領選のあとでは悪い冗談とは思えないような展開に背筋が寒くなる思いに。

僕の違和感 オルハン・パムク
 いとこの結婚式で一目ぼれした女性と一度も会わぬまま周囲の助けで駆け落ちした主人公・・・あれ、でも別人?てところから彼の半生を本人と関係者の語りでつづっていく。一昔前のイスタンブールの生活がくっきり見えてくる。ユーモアとペーソスが絶妙な塩梅。

コンビニ人間 村田 沙耶香
 30代後半・独身・職歴はコンビニバイトのみの主人公は人の心の機微をとらえることができない。が、コンビニのシステムには不思議と順応していてその姿は安寧を得ていて幸せなようにも思えるのだが、世間一般はそうはとってくれないんだよな・・・。

聖の青春  大崎 善生
 先日映画が公開になったがそれは観ていない。早逝した棋士村山聖の人生をつづったノンフィクション。

永い言い訳  西川美和
 こちらも映画化されたけれどそれは観ていない原作本。妻が亡くなった日、愛人と浮気していた幸夫。葬儀でも泣けなかった彼が、最終章で涙を流す。

ワカメちゃんのパリのふつうの生活 長谷川 たかこ
 漫画家長谷川町子さんの姪であるたかこさんのパリの生活をつづったもの。パリ大好き少女の先駆者みたいなもんだよなあ。筋金入り、って感じ。

アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。 稲垣えみ子
 齢五十で朝日新聞社を退社した稲垣氏の退職前~退職直後につづった随筆。電気ほぼゼロ生活を送る彼女をテレビ番組で紹介されていて興味をもって読んだ。

魂の退社―会社を辞めるということ。 稲垣えみ子
 上に同じ。

私の暮らしかた 大貫妙子
 散文散歩 以来彼女のエッセイのひそかなファンである。お母様が亡くなったときのエッセイでは滂沱の涙を流してしまった。

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて 山内マリコ
 こういう買い物エッセイってわりと好き。

真田幸村 -真田三代伝-竹本友重
 毎週日曜日が楽しみな真田丸。これは原作本ってわけじゃないんだけど、真田家のエピソードがきっちり描かれていて読みごたえあり。

・・・こんなもんかな?軽い本ばっか読んでるねえ~~。どうも最近、腰を据えて小説の世界に没頭するという気持ちになりにくいなあ。ぐわっと引き込まれる小説との出会いを待つ心持。
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by tigersandcatlover | 2016-11-25 21:00 | 読書

羊と鋼の森 宮下奈都 著

e0164774_17423721.jpg 2016年本屋大賞受賞作。高校生のときに初めてピアノの調律ということを知り、その世界に魅せられて調律師になっていく青年の物語。

 タイトルが詩的で気になっていたところに調律師の話と知って買ってしまった。ホロヴィッツとモアの関係を描いた舞台やモアのエッセイを読んだからというわけでもないけれど、なんとなく気になって。読み終わって、ホロヴィッツはじめたくさんのピアニストがモアを指名するということの意味が少しわかったような気がした(舞台はもちろん、モアのエッセイも彼の奥ゆかしさゆえかあまりそういうことに触れていなかったので)。

 ひとことで言うと<好みな文体>だった。弾みすぎてなくて丁寧でちょっと詩的で。
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by tigersandcatlover | 2016-05-10 21:29 | 読書

独りでいるより優しくて イーユン・リー 著

e0164774_16572057.jpg デビュー作である短編集「千年の祈り」を読んでから何年たったかな(7~8年?)。その後、彼女の本は何冊か刊行されているけれど、それ以来の新刊を手にした。今回は長編。最初の一章でぐいっと物語に入り込んでしまう。


内容(「BOOK」データベースより)

一人の女子大生が毒を飲んだ。自殺か、他殺か、あるいは事故なのか。事件に関わった当時高校生の三人の若者は、その後の長い人生を毒に少しずつ冒されるように壊されていく―凍えるような孤独と温かな優しさを同時に秘めたイーユン・リーの新作長編。


  冒頭、亡くなった40代の女性が荼毘に付されるところから物語は始まる。どうやら彼女は21年前に毒を盛られてその後遺症で長い間苦しみながら(家族や周囲も含めて)息を引き取ったらしい。そしてそれに当時15歳だった三人の少年少女が関係しているということが示唆される・・・。ここまでだけ読むとミステリー的に謎を解き明かしていく物語なのかと思うのだけれど読み進めるうちに、謎解きがメインテーマでないことが徐々にわかってくる。

 分かり合えないこと、孤独が繭のように彼らを癒す一方それは麻薬のように心地よい毒でもあること、時が解決しないまでも流し去っていくものもあること、などなど。こうやって連ねるとありきたりなテーマのようにも思えるけど、ものすごく細やかで深くて嫌な部分からも目をそらさないのに不快じゃない。こういうのを筆致というのだろうなあ。

 登場人物の名前を忘れないように自分のためにメモ。泊陽(ボーヤン)、黙然(モーラン)、如玉(ルーユイ)、そして少艾( シャオアイ)。
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by tigersandcatlover | 2016-04-13 09:42 | 読書

映画の原作本三冊

 映画化したくなるのわかるわ~、な原作本を三冊続けて読んだ。ので簡単にメモ。

火星の人 アンディ・ウィアー著

 映画「オデッセイ」の原作。個人的にはこの邦題はしっくりこない。ちなみに原題は「Martian」。当初はネットでアップしていたのを本にしたという異色というか現代風というかなのだけれど、実にそれがぴったりいい感じに嵌っていた。理科系前向き男子のノリが楽しい。宇宙飛行士はそういう人種だからな、という登場人物(誰だったかな?w)ににんまりしたっけ。映画は途中まで読んでいる段階でお正月休みに機内で観た。ほぼ原作通り。ラストだけはかなりむちゃにいじられてたけどそれもまたよし(笑)。

キャロル パトリシア・ハイスミス著

 こちらは先に映画を観てから読んだ。同じく機内にて(3月のNY)。映画の鮮烈さがあったためにどうしても違いを見つけるかごとくの読み方をしてしまった。が、映画ではややわかりにくかったテレーズの心の動きがよくわかって面白かった。

リリーのすべて デイヴィッド エバーショフ著

 もともと「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」という題名で出版されていたものを映画化に伴って題名変更されている。映画の原題は「The Danish Girl」。私っていつも題名にこだわってる気がするな。もっと生々しい内容かもと危惧していたけれど、まったくそういうことなく、抒情的。実話がもととは思えないくらいに登場人物たちがみなリリー=アイナーに理解あって献身的。それほどに彼が彼女が魅力的だったのだろうけど。こちらはまだ映画を観ていないのだけれど、すでに原作読んでるだけで映像が頭に浮かぶ。ぜひ観たいのだけれどなあ~。
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by tigersandcatlover | 2016-03-28 10:25 | 読書

べつの言葉で ジュンパ・ラヒリ著

e0164774_179849.jpg なんの予備知識もなく、図書館で予約していたラヒリのエッセイを借りた。で、びっくり。彼女の初エッセイであるこの本は、なんとイタリア語で書かれたものなのだ(もちろんそれを和訳したものを私が読んでるわけだけど)。

~内容紹介(amazon.comより)~

「わたしにとってイタリア語は救いだった」ローマでの暮らしをイタリア語で綴るエッセイ。子供時代から、家では両親の話すベンガル語、外では英語と、相容れない二つのことばを使い分けて育ったラヒリ。第三の言語、イタリア語と出会ってから二十余年。ついにラヒリは家族を伴いローマに移住する。初めての異国暮らしを、イタリア語と格闘しながら綴ったひたむきなエッセイ。イタリア語で書かれた掌篇二篇も付す。


 まず頭に浮かんだのは、すこしわかる、そして羨ましい!という感情。私はもちろん日本語が母国語なのだけれど、中途半端な幼少期に過ごしたアメリカでの生活のせいで、英語が彼女のベンガル語のような位置づけに感じられてしまう(彼女同様、それは決してうまく操れるわけではない)。そこにかれこれ6年ほど少しづつドイツ語を勉強しているのだが、まったくもう湖の岸沿いを泳ぐどころか、水たまりに足をちょちょっと入れてるような感じでまどろっこしい。異国の言語への憧れともどかしさ。なんなんだろうなあ。正直最近は授業は受けているものの予習復習に身が入ってないなあと自分でも思うんだけど、また少し初心に戻って頑張ってみようかな、という気になった。

 それにしてもいくら20年間イタリア語を勉強したとはいえ、ローマへ移住してわずか一年で短編まで仕上げてしまうこの言葉への才能に驚嘆。翻訳の素晴らしさもあるだろうけど、ラヒリのこれまでの小説から受ける色みたいなのはそのまま残っていて、でももちろんよりプリミティブな感じ。それより彼女の日記を盗み見るような楽しさもあって、いやもうこの本、絶対手元に置いておきたいから買っちゃおう~。
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by tigersandcatlover | 2016-01-26 21:27 | 読書

ラオスにいったい何があるというんですか? 村上春樹 著

e0164774_9201388.jpg 村上氏の本はまあまあ読む習慣にしているけれど、実をいうと小説よりもエッセイ、なかでも「遠い太鼓」「雨天炎天」「辺境・近境」といった紀行文が好物であります(他のエッセイ集にも紀行文はいくつか収録されてるけれども)。ユーモアとペーソスというとありきたりな表現だけど、どこか諦念めいた物哀しさとちょっぴり投げやりな感じがあって読んでてにやにやしてしまう。 で、今回も本作の帯に書かれている「旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない」 の一文ににんまり。いや、もちろん何もかもうまくいく旅行のほうが、そりゃ~快適だしそのときの幸福感ったらない。がが、あとになって思い出すときにはまずは<うまく行かなかったこと>とその周辺が真っ先に頭に浮かぶもんねえ。

 さて、この本は機内誌向けなどなどに村上氏が書いたエッセイを一冊にまとめたもの。なので行先も目的もどこかバラバラだ。ボストンはじめとしたアメリカ各地、アイスランド、かつて住んでいたギリシャの島々(これはたぶん機内で読んだ記憶がある)、フィンランド、タイトルにもなったラオス、ワインの記載が印象的なトスカナ地方、最後は「辺境・近境」の一遍を思い出す熊本。

 自宅で読もうとすると妙に集中できなくて、電車の移動の時間にちびちび読んだ、ので随分読了までに時間がかかった。が、こういう旅の本はどっちかというと一気読みよりそのほうが気分かも。
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by tigersandcatlover | 2015-12-14 12:55 | 読書

天才たちの日課 メイソン・カリー 著

e0164774_22351093.png  副題に「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」とあるが、これはちょっと余計かな? 原題は Dairy Rituals: How Artists Work. 音楽家や小説家、画家に映画監督。いろんな時代のさまざまなアーティストたちの日課を短く羅列したというユニークな本。

 そんなんどこが面白いの?と言われそうだけれど、とりあげられてるそのアーティストのリストを眺めるだけでもにんまりしてしまう。トーマス・ウルフ、モーツァルト、ベートーヴェン、キルケゴール、ジェイン・オースティン、ショパン、ロートレック、マルクス、マティス、マーラー、ヘミングウェイなどなど161人。時代も職種も実にさまざまなバリエーション。現在活躍中のアンス・マリローや村上春樹まで見つけることができる。もちろん知らない名前もたくさんある。

 彼らの日課というか習慣は几帳面だったり自由奔放だったり実にさまざまで、でも市井の人間である我々と違うようで違わない気がする。あくまで名を残したアーティストだからその日課の記録や証言が残っているだけなのかもしれないとか思ったりして。

 読んでいて自分の日課ってなんだろうな〜と半日くらいつらつら考えてしまったよ(あえてここには書かないけど)。
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by tigersandcatlover | 2015-12-04 23:02 | 読書

コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ 著

e0164774_1861243.jpg 先日読んだ「禁忌」に引き続いてシーラッハの長編をば。こちらのほうが先に出版されている。

内容(「BOOK」データベースより)

2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。


 いや~もうなんというか、ドイツだ・・・(というだけでネタバレしてしまうかもしれんが)。法律というものの隙間とその不条理さと人心から離れて一人歩きしてしまう怖さを突きつけられる感じ。いや、もともと人心なんかと寄り添ったりはきっとしてないんだろうな。
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by tigersandcatlover | 2015-11-27 20:50 | 読書

禁忌 フェルナンド・フォン・シーラッハ 著

e0164774_9564094.jpg 数年前、本好きの後輩に薦められて読んだシーラッハ(→そのときの読書日記)の長編を読んだ。今年日本で舞台化もされたらしい。

内容(「BOOK」データベースより)

ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か―。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。


 主人公か共感覚者という設定とその生い立ちと写真家として成功していく過程を描いた、事件が起こるまでの導入部がほぼ半分を占める。そしてその部分が実に魅力的。そのぶん後半はやや肩透かしをくらったような気分になったが、それでも著者の自己投影(?)ともいえる弁護士のビーグラーの小気味よい弁舌と語りでぐいぐいと読ませてくれた。「犯罪」「罪悪」を読んだ時も思ったけど、やはり罪と罪でないは<紙一重>だ。

 しかしシーラッハは短編の切り口鮮やかな感じもいいけど、長編だと別のカラーがでるんだねえ(正直ミステリーとしては??な読後感だったけど)。本作品より前に書かれた彼の初の長編「コリーニ事件」をさっそくDLしてしまったよ~。
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by tigersandcatlover | 2015-11-20 12:46 | 読書

書店主フィクリーのものがたり ガブリエル ゼヴィン 著

e0164774_1057469.jpg 島の小さな書店をめぐる物語。店主であるA.J.フィクリーはなかなかにうるさい本の趣味を持っていて、短編が大好き。そんな彼による各章の冒頭で紹介される短編たちには懐かしいタイトルが並ぶ。フィッツジェラルド著「リッツくらい大きなダイアモンド」、アーウィン・ショー「夏服を着た女達たち」、サリンジャー「バナナフィッシュ日和」、レイモンド・カーヴァー「愛について語るときに我々の語ること」などなど。もちろんタイトルしか知らないもの、初めて聞いたものもあり、それらを読んでみたい、と思った。まるでおすすめ短編のリスト集みたいだ(笑)。

 物語自体は当初ややファンタジーに過ぎる気がして入り込みにくかったのだけれど、後半になるほどに章の終わりの余韻が味わい深くなって行った。Kindleで読んでごめんよA.J、と途中思ったりして。随所に登場する読んだことのある本たちににんまり。アリス・マンローとか「本泥棒」とか「かいじゅうたちのいるところ」「オリーヴ・キタリッジの生活」「モリー先生との火曜日」とか。

 Mさん、教えてくださってありがとうございました!
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by tigersandcatlover | 2015-11-20 12:45 | 読書


舞台と音楽と本と、ときどき旅行。


by tigersandcatlover

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