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CHESS the musical

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 CHESS the musicalを観た。東西冷戦の最中の政治の駆け引きと、チェス世界選手権とを絡めた物語。ABBAが楽曲を書き下ろしたことでもよく知られる。以前コンサート形式で上演されたが、私は観ていないので全くの初見。

 ボビー・フィッシャーをモデルとしたフレディが主役の物語かと思っていたらどちらかというと対戦相手のアナトリーのほうに軸足があったような気がする。が、どの登場人物にも感情移入がしにくい。特にアナトリーとフローレンスが恋に落ちてアナトリーが亡命するところの展開が早過ぎる。ここで名曲 Anthemが流れるのだが、観客は置いてけぼりになる感じ。楽曲がどれももの凄く複雑で深みのある旋律で耳に残るだけに物語に入り込めないのがもどかしい。

 アッキーはやはり動きや歌い回しが独特ですっと注目してしまう。あと万里生くんは怪演だったなあ。彼らしくない声をつぶした歌い方が印象的だった。

 この作品がWEで初演されたのが1986年。ちょうど数日前の10月21日がBack to the future 2で描かれた1985年からマーティとドクがタイムトラベルした30年後の世界、ということでメディアが盛り上がっていたっけ。なんだかいろいろ照らし合わせて考えてしまったよ。

原案・作詞:ティム・ライス
作曲:ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルバース(ABBA)
演出・訳詩:萩田浩一
音楽監督:島健

フローレンス;安蘭けい 
アナトリー;石井一孝 
アービター田代万里生 
フレディ;中川晃教 

AKANE LIV 戸井勝海 天野朋子 池谷京子 角川裕明 高原紳輔 田村雄一 遠山裕介
ひのあらた 横関咲栄 大野幸人
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by tigersandcatlover | 2015-10-25 12:58 | ミュージカル

低地 ジュンパ・ラヒリ 著

e0164774_931070.jpg 久しぶりに読んだジュンパ・ラヒリ。「その名にちなんで」以来になるかな。短編の名手のイメージが強い著者だけれども、長編を読む楽しさを思い出させてくれた。

 よくよく振り返ってみると、ラヒリ女史に限らずここ数年こういう市井の人(と言うにはこの作品の登場人物はかなり特別な生涯の気もするが)の人生を丁寧に紡いでいく小説自体を読んでいなかったかも。それは自分の、地に足つかないまま<折り返し>してしまった生活と比べてしまい、心ざわめくからだろうか。

内容(「BOOK」データベースより)

カルカッタ郊外に育った仲睦まじい年子の兄弟。だが過激な革命運動に身を投じた弟は、両親と身重の妻の眼前、自宅近くの低湿地で射殺される。報せを聞いて留学先のアメリカからもどった兄は、遺された妻をカルカッタから連れだすことを決意する。喪失を抱えた男女はアメリカで新しい家族として歩みだすが、やがて女は、小さな娘と新しい夫を残し、行方も告げず家を出る―。


 さまざまな人物の目線で時系列を行ったり来たりしながら物語は進む。弟が絶命するときに見る光景の美しさ。悲劇的瞬間に間違いないのだけれど、なぜかそう思えないほどに。読む人はきっと皆、自分の<そのとき>はどんなものを見るのだろうかと思いはせるに違いない。
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by tigersandcatlover | 2015-10-22 13:00 | 読書

阿弖流為

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 新感線と歌舞伎の幸せなコラボ;阿弖流為を観てきた。もともと新感線の舞台を観ると「ああ、ホント歌舞伎みたいだなあ」と思うことが多々あるんだけど、逆に本家本元歌舞伎役者さんたちでやると、新感線らしさがますます際立つ感じだった。意表を突くどんでん返しに小気味いいお約束。いやもう心地いいほどの巻き込まれ感でありました。前半1時間35分、後半2時間の長丁場があっという間。両花道の間に挟まれて舞台からの汗が届くような距離での観劇は舞台の上に一緒にいるような感覚になった。こじんまりした松竹座ゆえの一体感もあったかもしれない。

 少し陰のある染五郎さん、対して陽の勘九郎さん(この二人が逆でも面白いかもと思った)、妖艶かつ清純な七之助さん。主役3人とも個性が際立って素晴らしかったけど、キモは七之助さんだったかな。後半のクライマックスでは鳥肌が立ってしまったよ。強くて弱くて美しくて哀しい。なんなのこの引き出しの多さは、って感じ。

 ギャグや笑いはもちろんあるけど適度に抑え目。まあ、くま子〜五郎丸周辺は大声出して笑っちゃったけどねww カーテンコールで(これまた新感線風の)ブラヴォーを飛ばす客席に「何?」みたいに耳をあててぽやっとした表情の阿弖流為の仮面を脱いだ染五郎さんがかわいらしかったなあ。

阿弖流為;市川染五郎
坂上田村麻呂利; 中村勘九郎
立烏帽子/鈴鹿; 中村七之助
阿毛斗; 坂東新悟
飛連通; 大谷廣太郎
翔連通; 中村鶴松
佐渡馬黒縄;市村橘太郎
無碍随鏡; 澤村宗之助
蛮甲;片岡亀蔵
御霊御前;市村萬次郎
藤原稀継;坂東彌十郎
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by tigersandcatlover | 2015-10-13 13:17 | 歌舞伎・文楽

ラインの黄金@新国立劇場

 新国立劇場の2015-16シーズン第一作:Das Rheingoldを観た。新演出。とはいえ、この作品自体を生で観るのは初めてで比較対象を持たない(ってそういう作品がまだまだ多いんだけどね)。

指揮:飯守泰次郎
演出:ゲッツ・フリードリヒ Götz Friedrich
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ Gottfried Pilz
照明:キンモ・ルスケラ Kimmo Ruskela
演出補:イェレ・エルッキラ Jere Erkkilä
舞台監督:村田健輔
ヴォータン:ユッカ・ラジライネン Jukka Rasilainen
ドンナー:黒田 博 
フロー:片寄純也
ローゲ:ステファン・グールドStephen Gould
ファーゾルト:妻屋秀和 Tsumaya Hidekazu
ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー Christian Hübner
アルベリヒ:トーマス・ガゼリ Thomas Gazheli
ミーメ:アンドレアス・コンラッド Andreas Conrad
フリッカ:シモーネ・シュレーダーSimone Schröder
フライア:安藤赴美子
エルダ:クリスタ・マイヤー Christa Mayer
ヴォークリンデ:増田のり子
ヴェルグンデ:池田香織
フロスヒルデ:清水華澄

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:飯守泰次郎

 観ている間中思ったのは、「ワーグナーてば、ようこんな舞台化しにくいオペラ書いたなあ」ってこと。川底やら天空の城やら巨人やら大蛇やらガマガエルやら、漫画や映画ならいざ知らず、よくこれを当時上演できたもんだ。いやそれは現代でも同じこと。なかなかこれだけのファンタジーを限られた予算の中で演出するのは大変なことであろう・・・。そういう意味では恵まれた現代で、シンプルながらも巧く舞台をつかっての演出がなされていたと思う。ええ、この作品のキーでもあるワルハラ城は柱だけであったとしても。

 楽しみにしていたのは、バイロイトでも活躍していて、このあとの新国立劇場でのリングすべてに出演する予定のグールドさん。完全に主役?な感じで余裕しゃくしゃくに魅力的にローゲを演じていた。まだ観るかどうか決めてないけど、残りの3作はどんな風に化けるのだろう? あと意外におおいい声!と思ったのがミーメのコンラッドさん。ただいかんせん彼がちらりと出てくるニーンベルグのシーンがちょうど睡魔が襲う時間だったのか、動きが少ないせいか、強烈な睡魔が襲って来てあくびをかみ殺しながら・頭をぐらぐらさせながら観劇するという体たらく。目が覚めたのはアルベリヒが大蛇から一旦彼自身に戻るシーン。ここでPAを通した声の違和感に睡魔が飛んだ。ちゃんと確認してないけど、あの部分だけはガゼリさんは別の場所でガマに変身中だったのかな?

 天上のシーンはヴォータンの人間くささとかドンナーやフローのギャグ?みたいな漫画っぽさとか巨人の笑ってしまうような姿とか、ううーん、全体にどこか安っぽい。日本で観るオペラってどうしてこういう感じになっちゃうんだろう?自分の斜めに見てしまうひねくれた感受性なのかなあ。その困った感受性はオケにも向けられてしまって、なんかテンポが緩過ぎると言うか、薄く感じてしまって、そういうのも睡魔に影響してしまっていたような気がする。これまで観たオペラでとにもかくにも眠くなったのは同じくここで観た「死の都」とレヴァイン振るMETの「コジファントゥッテ」なのだけれど、それに匹敵することになってしまった・・・かもかも。もし次を観るときにはもう少し体調整えていかねば、だな。
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by tigersandcatlover | 2015-10-05 20:14 | その他の舞台

人生最後のご馳走 ~淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト~ 青山ゆみこ 著

e0164774_20535577.jpg 余命わずか3週間ーあなたなら何を食べますか? の帯の文字とタイトルだけちらと見たら、まるで小説のような装丁のこの本。実は、がん末期の患者さんのホスピスで完全リクエスト食を出すという淀川キリスト病院の試みを取材した、れっきとしたインタビュー集なんである。

 とはいえ、ページを繰って行くと、表紙から受けた印象と変わらないことに驚く。一人一人のエピソードの冒頭には見るからに食欲をそそる美味しそうな料理の写真(リクエスト食を再現したもの)と患者さんの一言が添えられて、あとは問わず語りだったりご夫婦の会話だったりを、もちろん絶妙に手を加えてはあるのだろうけれど、あたかもまるでそのままテープから書き起こしたばかりのような生き生きとした語り口で綴って行く。病院の土地柄ゆえの柔らかい関西弁がまたその生き生きとした感じを増幅させる。

 インタビュアーそして著者である青山さんはノンフィクションライターというよりインタビューのプロとでもいう方で、こういった医療系ノンフィクション本にありがちなややもすると感情移入が強すぎたり、著者の意見が入りすぎたりといった内容とは一線を画した空気感が心地よい。医療の末端で働く自分にとって、医療をテーマにしたノンフィクションを読むときはいつも素直に読めずに少し複雑な気持になることが多いのだが、この本は彼女の温かみのあるニュートラルな視線に助けられて居心地悪くならずに済んだ。ああ、そっか、だからなんだか小説を読んでいるように感じたのかも。ただ逆に生々しくないところだけを見せてもらってる感も否めない(<生き生き>と<生々しい>って字面は似てるのにまったく違うねw)。でも、きっとそれはたぶん著者は全部わかっていて悩みながらもわざとそうしはったんやろうな。

 この試みが・本の内容が、現実はこんなに甘くないとかごく一部の恵まれた患者さんの夢物語に感じる人もいるだろう。だけど、皆が悪い平等に陥らないように最上の物を核のように大事に残すことの意味、みたいなんをヒシヒシと感じた。それにしてもこの本の患者さんとご家族が羨ましい!医療の本でそんなふうに思ったの初めてかも。

 そんなわけで、一番強く思ったのは、がんで命を落とす人たちにとってこの本の内容が決して特別なことじゃないくらいに当たり前だったらいいなあ、ということ。そうなっちゃってたらこの本は書かれることがなかったわけだから、逆説的だけどね。
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by tigersandcatlover | 2015-10-01 11:56 | 読書


舞台と音楽と本と、ときどき旅行。


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