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2010年、はじめの五冊

 年末年始はやおら漫画熱が再燃してしまい、10代の頃没頭して読んだ作品を再読してしまった。『ガラスの仮面』やら『SWAN』やら『あさきゆめみし』やら(A山さん、感謝です!)。ああ、SWAN続編の『まいあ』も大人買いしたんだった・・・。あとはもっぱら旅行のガイドブックばかり。

 そんなわけで、年明けからむくむくと真性活字中毒症状が出て、この一週間はテレビも観ず、音楽もほとんど聴かず、活字の世界に没頭していたような気がする。ええと、てなわけで例によってメモがわりに読んだ本を羅列させて下さいな。

スカイ・クロラ  森博嗣 著
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 今更、ですよねえ。押井守監督で映画化もされた小説。ちょっと侮っていたのだけれど、友人に薦められて読んだ。やー、ちょっと凄い。映画は観ていないのだけれど、映像が頭にくっきり浮かぶ。逆にこの原作を読んでしまったら映画は観なくてもいいかもしれないとすら思ったのだけれど、どうなんだろうか。ううむ。

ノーストリリア  コードウェイナー・スミス 著
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  『第81Q戦争』、『ショイヨルという名の星』、『鼠と竜のゲーム』などなどで独特の世界を作り上げたコードウェイナー・スミス唯一の長編小説。ノーストリリアのある少年(?)が地球をまるごと購入し、そして地球に向かう。彼の小説でおなじみのク・メルやらヴォマクトやら補完機構やらがゾクゾク出てきてマニアには堪らん一冊。いつまでもいつまでも読んでいたかったなあ~~。

所有せざる人々 アーシュラ・K・グイン 著
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 『ゲド戦記』の著者による未来小説。惑星ウラスからオドー主義(共産主義ともいえなくもない)をかかげて月でもあるアナリスに移住した人間たちの子孫の末裔である物理学者シュヴェックが招致されてウラスへの旅をする・・・。シュヴェックがアナリスを発つまでと、ウラスに旅立ってからが交互に過去と現在を織り交ぜて物語は進む。アナリスでの『何も所有しない』生活はブローディガンの『西瓜糖の日々』のideathの生活を彷彿させる。

芝生の復讐  リチャード・ブローディガン 著
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 所有せざる人々からの連想というわけではなく。長く復刊を待っていたわりに、いざ復刊されたのにしばらく気づかず、年末の旅行用の本を物色していて偶然みつけてドキドキしながら買った一冊。しかも結局旅行中には一度も開くことなく、帰ってきてからチビチビ読んだ。時間つぶしに読むには勿体無いような気がしてしまって。ええとそんなことはどうでもいいですよね。ともかくユーモアとペーソス(どちらかというと後者が勝つかもしれない)にあふれた短編集。孤独なのにおかしみがあり、物事を斜めに見てるのにどこか切迫した感じ。それも一遍一遍が只事ならぬほど短い。小説の体を為してないくらいに。あまりに断片的なために、書かれていないことに思い馳せてしまう。ブローディガンはもともとこれを出版するつもりで書いたんだろうか?それほどにリアルでいい意味でまとまってなくて、こちらは宙ぶらりんな気持ちになる。けれどそれが妙に心地よくて癖になるんだよなあ。

猫別れ  猪本典子 著
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 雑誌によく紹介されてはいるものの、パリに暮らしていたということが売りなフラワーコーディネーター?くらいなイメージだった猪本氏に対しての印象は正直それほど好意的ではなかったのだった。本をいくつか出版しているとは言え、写真やレシピなどが中心なので、今回のこれに関しては「文章だけの本?それもタイトルからして実際<猫別れ>の経験がある人間にはキツイかな?」と思って(他の作家が同様のことを書いた作品でも消化不良になっちゃうんだもん)。六章まで綴られた自伝(自猫伝?)的エッセイは、けれど意に反して、第一章がもの凄くよかった。異国で落ち着けず、イライラした感じが取り繕わずに描かれていて。二章以降は冗長で繰り返しな感じになっちゃったので退屈してしまったのだけれど、それを差し引いても第一章を読み返してしまったくらい。ウンチビが絶命する章では号泣してしまうかもと思ったが、ポロリ、くらいで済んだかな。猫の登場する物語って、絶対最後は死が訪れるという予感が付きまとうので(この本はタイトルからしてそうだし)、楽しく平和な時間を読むときもどこかざわざわしてしまう。ああ、猫バカ!  
by tigersandcatlover | 2010-01-16 23:01 | 読書


舞台と音楽と本と、ときどき旅行。


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